DNAから顔を予測し、顔をデザインする?ゲノム・モンタージュの限界と倫理✉️61✉️
わずか一滴の血液や一本の毛髪に含まれるDNAから、その人の「顔つき」を推定する技術があります。これは一般に「ゲノム・モンタージュ」と呼ばれ、DNAの情報をもとに、顔の形や目・鼻の特徴、さらには年齢や体格といった外見的な特徴を統計的に予測しようとする技術の一つです。
これまでDNA解析は、主に「病気になりやすいかどうか」を知るための地図のような役割を果たしてきました。しかし近年、AIの発展によって、DNA配列の中のごく小さな違い――SNP(一塩基多型)と呼ばれる一文字分の違い――と、顔の形(たとえば鼻の高さや目と目の距離)との関係を大量のデータから学習できるようになってきました。AIはこの関係をもとに、「このDNAを持つ人は、こういう顔つきになりやすい」という三次元的な顔のイメージを描こうとしています。
実際、目の色や肌の色といった一部の特徴については、すでに9割を超える精度で当てられると報告されています。そのため、警察の科学捜査では、DNAはあるものの身元が分からない人物について、外見の手がかりを得る「切り札」になるのではないかと期待されてきました。DNAと「顔」をAIで結びつける研究は、こうした背景から大きな注目を集めています。
ただし、この技術は人の人生や権利に直接関わる可能性があるからこそ、冷静で厳密な検証が欠かせません。そこで注目されたのが、中国の研究チームが2025年に発表した「Difface」という研究です。